MC精密加工品

 金属加工において、精密加工という場合は特に決められた精度を得る加工を指す訳ではなく、一般的な旋盤やプレス機において得られる精度よりも高い寸法精度や面粗さを得るための加工を指すものである。

  精密加工法としては、ホーニング、ラッピング、バフ仕上げ、ショットブラストなどがあり、いずれもが一次加工として切削加工や塑性加工を行った工作物をより精度良く仕上げる工程である。例えば切削加工は、刃物を使った除去加工であるため、加工面を微細に見た場合加工硬化を起こしている。また切削時に発生する加工熱の影響で、材料表面部の金属結晶が一様では無くなっている。対して上に挙げた精密加工では、微細な砥粒により僅かずつの除去加工を行うため、加工硬化が少なく、加工熱も少ないため金属組織も保たれる。加工精度要求がミクロン単位となってくるエレクトロニクス分野の金属加工では、こうした精密加工が不可欠のものとなる。


アルマイト処理

 希硫酸やシュウ酸(蓚酸)などを処理浴に用いて、アルミニウムを陽極として電気分解することにより、アルミニウムの表面を電気化学的に酸化させ、酸化アルミニウムAl2O3(アルミナとも言う)の皮膜を生成させる。ホウ酸など、酸化アルミニウムの溶解力の低い酸を用いてバリヤー皮膜と言う数十nm~数百nmの薄い酸化層を形成する技法もあるが、蜂の巣状に溶解する孔(ポーラスという)を作って数μmから数十μmの多孔質皮膜を形成した後、沸騰水または酢酸ニッケルなどの高温水溶液、加圧水蒸気により水和する事でβアルミナ化し、孔壁を水和膨張させて孔を封じ(封孔処理という)、耐食性を向上させる技法が一般的に用いられている。封孔処理には、化学反応による不活性化、高分子などにより孔を埋める様な技法もある。